緊急事態宣言が解除されたら生活はどうなる?ー外出制限緩和が始まったドイツより
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染爆発を防ぐために緊急事態宣言が発令されてから早約1ヶ月。日本ではこれといって罰金などないものの患者の増加がある程度抑え込めているのは皆さんの思いやりの心、そして協力と努力の賜物だと思います。
一方で、こんな外出自粛いつまで続くんだろう…と途方に暮れている人も多いと思います。それは私にもわかりません。しかし、少なくともすっかり生活が元どおりになるには長期戦を覚悟しなければならないことは確かです。
そんなことを言っても一生家に閉じこもったままではいられないので、少しずつ生活を元に戻していく必要があります。しかし緊急事態宣言か解除されたからといってぬか喜びして、みんなが一斉に外に出たならば、感染爆発が1ヶ月遅れになったというだけで、結局今までの努力が全くなんの意味もなくなります。
重要なのは、
医療機関がパンクしない患者さんの人数を保ち続けることです。
実際ヨーロッパでは
外出制限の「段階的」緩和
が始まりました。
今日は、今後外出制限が緩和されていくと、生活がどんな風になっていくのか、
ドイツの例を紹介したいと思います。
- *誰と会っていいの?
- *大規模イベントは当面禁止、ただし冠婚葬祭などは条件付きで可
- *どんなお店が開くの?- まずは小さなお店から
- *学校や文化活動も再開!
- *スポーツはできるの? -できるけど、 施設・器具の使用や人とのコンタクトは避けて
- *この変化を受けて医療現場は?
- *今後の生活はどうなるか
*誰と会っていいの?
外出は緩和されたものの、感染は人から人へうつるので、やはり「人と会うのは最低限にする」根本は変わっていません。
対人距離は1.5-2mを保つ、これは絶対です。
さらにドイツでは、4月27日から交通公共機関利用時やお店に入る時のマスク着用が"義務"となりました。ただ、人が集まらなければいいので、外出が緩和されたことで、街を出歩く人たちや公園などで日向ぼっこする人たちはとても増えた印象です。
*大規模イベントは当面禁止、ただし冠婚葬祭などは条件付きで可
- 大規模イベント(お祭り、スポーツ、コンサート、フェスティバルなど)
は少なくとも8月31日まで禁止。 - 必要不可欠な集会は20名まで認める
(臨終への立会い、葬儀、結婚式など) - 屋外の20名までのイベントは申請に基づき認められる場合もある
*どんなお店が開くの?- まずは小さなお店から
ドイツではまず小さなお店から、入場人数制限を設けて再開されました。カフェやレストラン、ショッピングモールなどはまだです。具体的には、
- 売り場面積が800m2以下のお店はオープン可
- ただし入場は20m2あたり最大1名まで (入場制限あり)
- スーパーや薬局、生活用品店などは引き続き(売り場面積に関わらず)営業可
- 美容院理髪店も営業再開
今まで生きるために必要な食料品や生活雑貨・薬局などのお店だけだったのが、加えて、本屋・ホームセンター・眼鏡/補聴器店・ペット用品店・園芸用品店・コインランドリー・クリーニングなど、生活を便利にするお店もオープンしました。
*学校や文化活動も再開!
4月27日より、学校や一部の文化施設 (博物館、美術館、ギャラリー、動植物園) などが、感染対策をしっかりすることを前提に再開されました。例えばベルリンでは動物園や植物園の屋外部分がオープンしました。
学校に関しては4月27日より段階的に再開しています。
- 学校は段階的に再開
(注*まずは最終学年から再開、他は段階的に) - 教習所や芸術学校などはまだ休校のまま
- 試験は感染対策をすれば再開しても良い
- 修学旅行は禁止
- 大学の図書館などは、貸し出しのみOK
- 子供用の遊び場再開
注* 学校の取り扱いに関しては州により異なりますが、まずは最終学年(受験などを控えた学年)の授業からまず再開し、その後段階的に他の学年を再開するという対応をとっているところが多いようです。
しかもさすがドイツ、再開を目指す中小企業の文化施設に対して1000万ユーロの予算が確保されたとのことです。(やっぱりこうゆうところ手厚い、、、)
*スポーツはできるの? -できるけど、 施設・器具の使用や人とのコンタクトは避けて
- スポーツ施設、ジム、プール、フィットネス、サウナなどは
引き続き禁止 - 屋外スポーツ施設の利用は1人または家族とのみ可。家族以外なら友達1名まで。
- 1.5m以上の距離が保てないコンタクトスポーツはダメ
- スポーツ施設のトレーニング器具や、
更衣室やシャワーなどの利用はできない
*この変化を受けて医療現場は?
感染者数の増加が落ち着き始めたので、医療現場はこれまで完全に中止されていた
待機手術が徐々に再開され始めました。
ただ、入院してくるコロナ患者の数はあまり減っていると言う印象はなく、むしろ今まで減っていた通常業務がまた増え始めたので、コロナ患者の対応と通常業務が重なり、私の周りではむしろより忙しくなっている実感があります。
しかし、コロナ患者の受け入れ体制には余裕を保てるよう、必ず空きベッドは確保されているように調整されていますが、一度入院した患者さんはなかなか退院できないので、やりくりはだんだん大変になってきました。
また外出制限を行ったことで、街中で感染する患者さんの数は減り始めましたが、代わりに高齢者施設や医療機関での感染拡大が進み問題となっています。他疾患で受診の患者でも疑わしい人はすぐに隔離、医療従事者が検査を受けられやすくする、高齢者施設から/-への転院の際は必ず検査を行うなど、できる限りの対策を講じて対応しています。
*今後の生活はどうなるか
ドイツだけでなく、イタリアやフランス、イギリスなども含めヨーロッパの国々では、厳しい外出制限の効果があってか少しずつ感染患者数は落ち着き始めました。
今後は次なる
生活を「段階的に」元に戻していく
フェーズに入っていきます。ただ、一気に元に戻してはまた感染が一気に広がるだけなので、様子を見ながら徐々に行っていくというのが非常に大事です。
そして、何が一番感染を広げないために大事なのかの「基本のき」を頭の中にしっかり留めておくことが大切です。
- 丁寧かつこまめな手洗いうがい
- 人との物理的距離を保つ
- 3密は絶対に避ける
外出制限が緩和されて、公園で距離を保ちながら日向ぼっこしたり、親に手を引かれて外を散歩する子供達のはしゃぎ声などほのぼのとした光景が増えました。少しずつ、明るい将来が見え始めることで、皆の気持ちが少しでも明るくなっていくといいなと思っています。